収蔵品展
第55回山形県写真展審査講評について
2021.02.25
会場で配布している県写真展目録に審査員鈴木一雄さんの審査講評を掲載しています。
以下に転載します。
【総 評】
過去の入賞作品と比較しても今回の作品はレベルが高い。バリエーションも豊かであり、今までにないような作品がかなり入っており、見応えのある写真展になるのではないか。力の拮抗した写真展であり、普通審査をしていると“ダントツ”というものがあるものだが、今回はなかった。それだけ上位の作品はレベルが高かったということでもあり、今までにない写真展になると思う。
【応募者へのアドバイス】
写真の力というのは“被写体の力”プラス“撮影者の力”である。“撮影者の力”は技術力・感動力・感性である。テクニックだけにこだわると限界が来る。
“独創力”も問われる。今回、今までにない作品を選んだが、有名な所や皆が撮っている所で撮ったものはその時点で独創性が失われることから外した。自分の足で見つけた被写体は独創性がある。被写体の力は独創性があるかないかで変わってくる。今まで上位に入った場所を撮って応募するのではなく、これまで入賞した作品を真似することなく自分の足で探し、五感に訴えてくる被写体を探し、それに独創性を入れるとともに感性を高めてシャッターチャンスを待って撮る。
作品の力を上げるために撮影後、画像処理を行う人もいると思うが、8割くらいは露出もフレーミングも撮る時に決めるという想いで撮影してもらいたい。画像処理やトリミングなど後で取り繕うとすると色々な取り繕いを行うことになる。取り繕わないという姿勢で撮った写真には力がある。その場で決めるという気持ちでシャッターを切った作品には力がある。後の画像処理やトリミングなどを考えずに現場で決めてもらいたい。
また、作品の力というのは、その作品にどの位撮影者の感動が宿っているかということ。被写体に対して感動してシャッターを切ることが作品に感動を宿すことになる。ベテランになればなるほどテクニックは高まるが、感動力は落ちて来る。いつもときめいて感動力を持ち続けることが大事であり、感動力を落とさないよう努力してもらいたい。