牛腸茂雄が1983年に36歳の若さで亡くなってから、20年の歳月が経ちました。彼の静謐で純度の高い作品は、多くの人々の胸に消えることのない波紋を広げ続け、1960-80年代の写真表現の到達点の一つとして注目を集め始めています。
 1946年新潟県加茂市で生まれた牛腸茂雄は、幼少時に患った胸椎カリエスのために身体的なハンディキャップを負いますが、早くからデザインの才能を見せ、高校卒業後上京し、桑沢デザイン研究所に学びました。牛腸はここで写真家大辻清司と出会い、写真の道に進むことになります。
 まもなく牛腸は、60年代末に登場した日常のありふれた何気ない事象を淡々とストレートに撮る、いわゆる「コンポラ」写真を代表する作家と見なされるようになります。しかし牛腸は同時代の写真の動向とは距離をおきながら、1971年に『日々』(関口正夫との共著)、1977年に『SELF AND OTHERS』、1981年に『見慣れた街の中で』を刊行しました。並行して、自己の内面を凝視するようなインクブロットやマーブリングにも取り組み、1980年にはインクブロット画集『扉をあけると』を刊行します。そして、連作〈幼年の「時間」〉発表直後の1983年6月、この世を去りました。
 これらの作品には、自己と他者との交感の諸相や意識と無意識の重層的な関係、そしていのちの輝きとかげりが定着されており、見る者に人間の存在と生の豊穣さについての再考を静かに促します。
 本展では、3冊の写真集掲載の全点を中心に雑誌掲載写真、インクブロットやマーブリング、豊富な資料に加え、残された未発表のプリントの中から関連する重要な写真を精選し、ヴィンテージ・プリント多数を含む総計250余点により、牛腸の初期から晩年までの軌跡を紹介します。牛腸の仕事への関心を新たに呼び起こす契機となると同時に、私たち自身の「自己と他者」をあらためて見つめ直す機会ともなれば幸いです。


「日々」より

「SELF AND OTHERS」より

「見慣れた街の中で」より


■関連事業

□記念講演会

2004年11月3日[水]午後2時より3階ホール

三浦和人氏[友人・写真家]

□展示解説

2004年11月14日[日]当館学芸員 午後2時より

□手作りカメラでとってみよう

2004年11月20日[土]10時〜15:00

・対象・定員 小・中学生 10人(組み立てにカッターを使用しますので保護者の方同伴でも結構です。) 応募者多数の場合は抽選となります。

・参加費(材料費)500円(税込み)

・応募方法 葉書に、氏名、性別、学校名、学年、電話番号をご記入の上、下記へお送り下さい。当選された方には、美術館より連絡させていただきます。

・応募締切 11月13日[土]必着

〒990-0046 山形市大手町1-63 山形美術館段ボールカメラ係

※ 詳細は山形美術館までお問い合わせください。



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